tag:blogger.com,1999:blog-74920507614180149772024-03-13T15:30:07.905+09:00物書きさんの読書ノート読んでみた。そして僕はあらすじや感想を書いてみた。灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.comBlogger150125tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-8586714175319122772016-09-14T05:32:00.002+09:002020-05-26T09:01:50.042+09:00「獣の奏者(1)~(4)」上橋菜穂子 (講談社 青い鳥文庫)<p><img alt="獣の奏者(1)" border="0" height="364" src="https://lh3.googleusercontent.com/-_52emeQfYc0/V9hhdvoPCPI/AAAAAAAAJwA/ZqmFw7vO0I4/51h8cMCjaRL._SX298_BO1%25252C204%25252C203%25252C200_%25255B7%25255D.jpg?imgmax=800" style="background-image: none; border-width: 0px; display: inline; padding-left: 0px; padding-right: 0px; padding-top: 0px;" title="獣の奏者(1)" width="237" /></p><br />
<p><u>あらすじ</u></p> <blockquote> <p>物心もつかない年頃の少女エリンは、真王(ヨジェ)が治めるリョザ神王国の闘蛇村で暮らし、幸せな日々を送っていた。<br />
だが大公(アルハン)の闘蛇を死なせた罪に問われた母との別れを境に、その幸せな日々は終わりを告げた。<br />
<br />
エリンは母の決死の術によって死地を逃れた後、蜂飼いのジョウンに拾われて九死に一生を得る。<br />
その後エリンは生き物の不思議さに興味を覚え、またジョウンもエリンのその才能に思うところがあって、王獣学舎の長となっている旧友のエサルに彼女を託す。<br />
<br />
ある日見た王獣の魅力を忘れられずにいたエリンは、母と同じ獣ノ医術師を目指す。<br />
野生の王獣と心を通わせることのできる少女エリンの数奇な運命の物語が幕を開ける。</p></blockquote>
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB00Q4KMKNU" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51kvmc83gTL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB00Q4KMKNU" rel="nofollow" target="_blank">獣の奏者 全5冊合本版 (講談社文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB00Q4KMKNU" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<br />
<p>今回読んだ上橋菜穂子さんの「獣の奏者」は青い鳥文庫の(1)~(4)までで、これらは現在、講談社文庫から出ている「闘蛇編」と「王獣編」に相当する部分である。<br />ジャンルは児童文学ということもあり、話の筋はシンプルで子供向けではあるものの、使用される言葉遣いは若干子供向けとは言い難い。</p> <p>作品の出来としては先に読んだ「精霊の守り人」よりも、主人公に親近感が持てて読みやすい。<br />これは主人公が幼い少女であるということが深く関係しているのかもしれない。<br />見知った少女の成長を見守るような気持ちで、話の続きを読みたくなる。<br />テレビでモモクロのメンバーを見る時、姪っ子の活躍を見るような気持ちになるのと近いのかもしれない。</p> <a name='more'></a> <p><br />本来ならこの4冊(「闘蛇編」と「王獣編」)で完結していた物語だったそうである。<br />そのことを踏まえた上で言うと、結末としては話の収まりがよろしくない。<br />何かもやもやとした終わり方なのである。<br />「精霊の守り人」の方が、読者が納得できるようなすっきりとした締め方をしている。</p> <p>ただ多くの読者からの要望があって、現在は続編としてこの結末から11年後のエリンたちの物語が描かれている。<br />青い鳥文庫であれば(5)~(8)、講談社文庫であれば「探求編」と「完結編」がそれにあたる。<br />ついでに言うと「外伝」まで出ており、私はそれら全てを読み終えている。<br />読了時期が今回とは異なるので、感想はまた後日に回すつもりでいる。</p> <p>作者のあとがきを読むと、偉人伝に熱中していた頃、特に「キュリー夫人」が大好きで、知りたいと思ったことをひたむきに追い続ける姿を、今回のエリンという少女に落とし込んだらしい。<br />知的な欲求を純粋に追求する姿は美しいが、その追求は必ずしもいい結果だけを生むとは限らない。<br />それでも知りたいことを追求するその姿は美しい。<br />作者の感じたそのことを読者に伝えたかったそうだ。</p> <p>一読者である私はと言うと、そういう美しさよりも幼い頃のエリンの可愛さと、権力に抗えない民たちの非力さと物悲しい諦め感ばかりが目についた。<br />ファンタジーという舞台の特性上、荒唐無稽な話にならないように配慮されたのかもしれない。</p> <p>だけど現実は意外と物語よりもドラマティックで、予測不可能な展開を見せることがしばしばある。<br />児童文学であるなら、むしろそういう現実を動かす人々の姿や読者が現実に希望を持てる内容を描いた方が望ましいのではないかと思った次第である。</p>
<p>読書期間:2015(H27).5.5~5.9</p>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-6420865416993494542016-09-08T00:21:00.003+09:002020-05-26T08:54:30.033+09:00「満願」米澤穂信 (新潮社)<p><img alt="41FtdEgl4hL._SX344_BO1,204,203,200_" border="0" height="304" src="https://lh3.googleusercontent.com/-boUu-zkM5yQ/V9AwELosrnI/AAAAAAAAJlQ/Yju4i8wtLTU/41FtdEgl4hL._SX344_BO1%25252C204%25252C203%25252C200_%25255B10%25255D.jpg?imgmax=800" style="background-image: none; border-width: 0px; display: inline; padding-left: 0px; padding-right: 0px; padding-top: 0px;" title="41FtdEgl4hL._SX344_BO1,204,203,200_" width="212" /></p> <p><br /></p><p>日常と地続きの、ゾッとさせる怖さがある。<br />何かが「日常」に潜んでいるわけではない。<br />「日常」そのものが実は得体の知れない「非日常」である。<br />だが私たちは「日常」という言葉を使ってその現実から目を背け、非日常的な日々を何となく過ごしているだけにすぎない。<br />灰原はこの「満願」を読んで、そんな思いを抱いていた。</p> <h3>夜警</h3> <p><u>あらすじ</u><br /></p> <blockquote> <p>小心者の新米警官が自分の不始末を隠蔽しようとある事件を画策する。<br />だがその事件が仇となり、その新米警官は命を落とすことになる。<br />先輩警官の柳岡は新米警官の犯した不始末が何だったのか、そしてその隠ぺいのために画策された事件のあらましを憶測する。<br />だがそれを知ったところで、柳岡はどうするということもない。<br />その胸中に思うことは何なのか。</p></blockquote> <p>警官としてどうこうという話ではない。<br />人が他者に接する時、現在多くの場合このような振る舞いをするのではないか。<br />特殊な事例ではなく、世間にありふれた話であるはずなのに、そのありふれた「日常」に怖さを感じる。<br />人付き合いの苦手な灰原にとって、ここに描かれた人々の姿は決して他人事ではない。<br />だが他人事ではないからこそ、灰原はますます人との関わりを避けようとも思うのだった。</p> <a name='more'></a> <br /> <h3>死人宿</h3> <p><u>あらすじ</u><br /></p> <blockquote> <p>自殺志願者が客として集まる温泉宿。<br />宿泊客の誰がその自殺志願者なのか、落し物の遺書を手掛かりに探す主人公。<br />自分と何ら関わりのない人の自殺を、彼はなぜ止めようとするのか。<br />別れた彼女、佐和子とよりを戻すために今の自分は昔とは違う、他人を助けられる人間になったのだと証明したかったのだ。</p></blockquote> <p>ちょっとした推理小説である。<br />ただ可能性の一つとして考えられる結末であったため、その結末に灰原はさして驚くことはなかった。<br />だがそういう推理要素よりも、この小説の本題は別にある、と感じていた。</p> <p>以前の主人公はと言えば、彼女といえども詰まる所は他人であると割り切ったところのある人間だった。<br />そのため彼女を助けるべき時に助けず、突き放すような形で別れることになる。<br />彼はその経験を踏まえて、今は合理性よりも人としての優しさが大事な時があるということを学習した。<br />そのことを別れた彼女にアピールしようとして、赤の他人の自殺を止めようとしている姿が、それこそ合理的な人間に他ならない。</p> <p>何とも皮肉な話だと思いつつ、灰原は自らの姿とその主人公の姿を脳裏で重ねるのだった。</p> <h3>柘榴</h3> <p>佐原成海という、女を惹きつけてやまないダメ男を巡る母娘たちの暗闘。<br />簡潔・簡素な締めの一文から姉の勝利の確信と安堵が感じられる。<br />「美しさ」に対する女性の執着心に焦点を当てたものだろうか。<br />だが女性が美しくあり続けたいと思うのは、常に男のためとは限らない。<br />自身が女装をするからこそ灰原にはわかるのだが、単純に「かわいい」「きれい」な自分を作りたいだけで、男はむしろその副産物に近い。<br />もちろん男のためにきれいになろうと頑張っている人もいるだろうけども。</p> <br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101287848" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51QQtUanT7L. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101287848" rel="nofollow" target="_blank">満願 (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101287848" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<br /> <h3>万灯</h3> <p><u>あらすじ</u><br /></p> <blockquote> <p>資源開発事業に己の全てを捧げる男、伊丹。<br />彼は自分の掘り当てた資源が、街の灯りとなって人々の暮らしを支えることが自分の使命であり、夢であると考えて頑張っていた。<br />しかしその使命と夢には障害が伴うことがあり、時にはある程度の犠牲を支払わなければいけない時もあった。</p></blockquote> <p>伊丹という男は、社畜とはまた違うのだろうか。<br />会社の利益と本人の考える使命や夢が一致している時点で、いわゆる社畜とは違うような気がする。<br />ただその行動や判断基準は社畜と呼ばれる人間と何ら変わるところがない。</p> <p>灰原はここで以前読んだ本の名前を思い出そうとするが、上手くいかず、結局読書ノートで確認した。<br /></p>
<a href="https://books.note4mon.com/2015/08/sataka-150.html" style="text-decoration: none;"><div class="link-box"><div class="img-box"><div style="background-image: url("https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgfXeTX_U0UtYsIAyt4CmHIZLlKXhIACHUDu0kew416VJncTR_lK1JeLIgAWDwb4i_bteDMvO3NNhLHEvk4pC6p6dPxWgiZysW6FSDCK79BIlZ6dV0vgFiHtM0pbiViK0iBnzKqGvdGCDo/w1200-h630-p-k-no-nu/61c57RSncQL._SL500_SX356_BO1204203200_-301x4201.jpg");"></div></div><div class="text-box"><p class="title">「佐高信の筆刀両断」佐高信 (現代教養文庫)</p><p class="description">佐高信「佐高信の筆刀両断」は企業、官僚、政治家、経営者、会社員たちへの批評が主となる内容の一冊です。批評というよりも批判という方が正しいかもしれません。かなり辛辣ですけども、的を射てるなぁと思うところがしばしばありました。さすがにその全てをここに書き出すような無粋な真似はしませんけどもね。</p></div></div></a>
<p>ブログに書き留めておいた部分はかなり端折ったもので、手書きで残しておいたノートの方にこの小説にぴったりの一節を見つける。</p> <blockquote> <p>日本には残念ながら民主主義が根付いていない。<br />会社より広く大きいことが自明な社会が見えていない。<br />だから社会的なルールを守るという気持ちが出て来ない。</p></blockquote> <p>伊丹の場合は会社人間とは違い、自分の使命や夢に殉じた結果とも言える。<br />ただ「社会的なルール」よりも会社、あるいは自分の使命や夢が大事という部分では一致している。</p> <p>しかし常に社会優先で、自分のしたいことは後回しというのは、これまた一個人としてはどうなのだろう。<br />もやもやとしつつ灰原が思い至ったのは、伊丹という男が社畜なのか自分本位の人間なのか、どちらの立場に足を置いているのかが明確でないということだった。</p> <p>社畜なのであれば、伊丹の行動とその結果に対する彼の思いは整合性がある。<br />だが自分の使命や夢のために起こした行動と考えるならば、その結果に対しての独白があまりにも無責任すぎるのだ。</p> <p>自分のしでかしたことへの追及が来た時を思って言い逃れを考える伊丹だが、自分のしたことに後ろ暗さを感じている時点で、彼の使命や夢とは一体何だったのか、と灰原は疑問に思う。<br />もちろん作者がそこまで考えて書いた物語ではないかもしれない。<br />ただ現実社会において社畜と呼ばれる人の中には、自分に課せられた仕事を使命や夢と思い込んでいるだけの自覚なき社畜がいるのも事実だろう。</p> <p>会社に何かを命じられた時、それが社会的に問題のある事柄であるとわかっていたとして、自分は果たしてその辞令を断固拒むことができるだろうか。<br />灰原は己の存在の小ささを、改めて目の当たりにしたような気持ちがした。</p><p>読書期間:2015(H27).4.27~5.4</p><p></p>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-4570179358038276492016-09-06T07:06:00.002+09:002020-05-26T08:53:56.333+09:00「別冊図書館戦争2」有川浩 (角川文庫)<p><img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-biqG6hmqzus/V83qKx_VKNI/AAAAAAAAJjo/a--a8bkWKigxEPQgv1UktjilH5rcHo8vQCPcB/s1600/51yHmwR7vuL._SX346_BO1%252C204%252C203%252C200_%255B6%255D" /></p> <p><br /></p><p>灰原は思った。<br />いないなら、自分がそのあほっぽい女になればいいんじゃないか?<br />はるのっち誕生の瞬間である。</p> <p>しかしこの時、灰原は一つの大きな誤算に気付いていなかった。<br />自分がはるのっちになれたとして、「図書館戦争」の堂上と郁のような恋愛ができるわけではないということに。</p> <p>当然だが、自分がはるのっち役をしたならば、一体誰が灰原役をするというのか。<br />一人では帰宅後、プロレスごっこでじゃれ合う堂上と郁みたいな恋愛ができるわけがない。<br />そう。一人では何もできないのだ。<br />そのことに灰原は気付いていなかった。<br />つまりバカである。</p> <a name='more'></a><br /> <h3>「昔の話を聞かせて」</h3> <p>怪我に気を付けるように堂上が郁に言うと、見せる相手は(堂上)一人しかいないから、という理由で「大丈夫」と答える郁。<br />堂上としてはそうではなく、せっかく綺麗な体なのに勿体ないだろうと言いたいところだが、そんなことをさらりと言える柄ではない。<br />その上相手は直球以外は理解できない妻、郁である。<br />女としても十分上等なのに「戦闘職種で足を引っ張ってるかどうか不安で泣き出すようなところが、俺も結構好きだしな」と心配することを諦める堂上。</p> <p>灰原は物語を追いつつ、そんな気障なことを言える男か、俺は?と自問自答する。<br />かと言ってはるのっちとして、郁みたいな可愛い女になれるのかと言うと、それも甚だあやしい。<br />読み終えた灰原は、布団の上で身悶えながらゴロゴロ転がるのであった。<br />うおお!うらやましい!俺もそんな恋愛とか結婚とかしたいわ!</p><p><br /></p>
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389810X" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51yHmwR7vuL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389810X" rel="nofollow" target="_blank">別冊図書館戦争II (図書館戦争シリーズ 6) (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389810X" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<br /><h3>「背中合わせの二人」(1)~(3)</h3> <p>堂上と郁のような恋愛が無理でも、手塚と柴崎のような恋愛ならばどうだろうかと灰原は思い返す。<br />まず見た目が無理よな、うん。<br />どっちも美形だから。</p> <p>柴崎を抱きしめ、ノーブラの感触にどぎまぎする手塚に「いいよ。あんたなら嫌じゃないみたいだわ、あたし」と言う柴崎。<br />互いに告白し合い、<br />「あたしを大事にしてくれて、あたしが大事にしたいような人は、あたしのことなんか見つけてくれなかった!」<br />「俺が見つけた。自信家で皮肉屋で意固地で意地っ張りで大事にしたいお前のこと、やっと見つけた」<br />手塚の言葉に柴崎は泣きじゃくりながら「大事にして」を連呼し、自分も手塚のことを大事にしたいと口走る。</p> <p>そんな手塚と柴崎のような二人もいいな。そんなふうになりたい。<br />しかし残念ながら、灰原はやはり一人であるのだから、これも無理な話である。<br />再び灰原は布団の上で身悶えながらゴロゴロ転がるのであった。<br />うおお!うらやましい!俺もそんな恋愛とか結婚とかしたいわ!</p> <p>灰原士紋。アラフォー男子、時々女装。いまだ独身である。(終わり)</p> <p>読書期間:2015(H27).4.25~4.26</p>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-39910973612185623932016-08-10T22:49:00.004+09:002020-05-26T08:53:04.244+09:00「別冊図書館戦争1」有川浩 (角川文庫)<p><img alt="51a1qn6sPeL._SX350_BO1,204,203,200_" border="0" height="336" src="https://lh3.googleusercontent.com/-hH1mrsEFlxs/V6sw-IBak3I/AAAAAAAAIJg/jJbPkkXGDlY/51a1qn6sPeL._SX350_BO1%25252C204%25252C203%25252C200_%25255B27%25255D.jpg?imgmax=800" style="background-image: none; border-width: 0px; display: inline; padding-left: 0px; padding-right: 0px; padding-top: 0px;" title="" width="229" /></p> <p><br /></p><p>「……はっ」<br />目を覚ました灰原の額は、粘り気を含んだような汗にまみれていた。<br />「何だったんだろう、あの女は」<br />知らない異性が夢に出てくる、それはフロイトだかユングだったかが、自分が男なら自分の女性的な部分を表しているとか、自分が理想とする異性像を表しているとか言ってたような気がする。<br />はて。あれが俺自身の女性的な部分だとすれば、かなりあほっぽいな。もし理想像だというなら、俺はあほっぽい女が好きなのか。</p> <p>確かに嫌いではないな。<br />ベッドに仰向けのままどこともなく天井を見やりながら、一人納得する灰原だった。</p> <a name='more'></a> <p> </p> <p>あほっぽいと言えば、笠原郁もあほっぽいよな。<br />「別冊図書館戦争1」でも引き続きあほっぽさ全開で、それを不快に感じることもなく読めたんだから嫌いというかむしろ好きなぐらいなんだろう。<br />いやあ、でもキスはしたけどきちんと「好き」って言葉に出して言ってもらえてないから何となく不安だとか、実際にそんな女と付き合ったら面倒くさそうだよな。</p> <p>そもそも堂上ってそんなにいい男か?<br />欲しいものは何かと、郁が酔った頭で考えて我知らず口走った「一番はもっとキスがしたい」という言葉に乗って「その一番はこっちも思ってないとでも思ってるのか」なんて言って、いきなり強気になってキスしてくるようなムッツリだぞ。<br />そんなもん、好きな人とのキスなら誰だってしたいわ。</p> <p>でもまぁ「別冊図書館戦争1」の一番の見どころは三話目だな。<br />「止めないで下さい!」「触って下さい!あたし、もっと触られたいんです!」とか、下手すりゃ淫乱女認定されるような台詞だよな。<br />でもそういう女は大好きだ。男は大抵そういう女が大好きだ。<br />だから彼氏にキス以上をねだったらふしだらな女と思われて嫌われるんじゃないか、激しいキスの先に興味があって、あの手で触られたいとか、あまつさえもっといろんなことをされたいとか、そんなことを考えてるのがばれたら、いやらしい女と思われて嫌われるのではないか、と郁が不安に駆られる必要はまったくない。<br />なぜなら男はそういう女が大好きだからで、堂上もそういう点では極々普通の男だからだ。</p><p><br /></p> <div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898096" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51a1qn6sPeL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898096" rel="nofollow" target="_blank">別冊図書館戦争 1―図書館戦争シリーズ(5) (角川文庫 あ)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898096" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<p><br /></p><p>寝ぼけた頭でそんなどうでもいいことに無駄に思いを巡らせ、灰原は「うんうん。やっぱりラブコメはこういうもどかしい感じが、何かいいんだよな」と一人で納得した。</p> <p>そこでふと夢の中の女のことを思い出す。<br />あのはるのっちみたいなあほっぽい女が実際にいたらいいのにな。<br />その時、灰原はあることを思いついたのだった。(続く)</p> <p>読書期間:2015(H27).4.24~4.25</p>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-61349319512059731102015-08-17T20:00:00.001+09:002020-05-26T08:27:25.097+09:00「図書館革命」有川浩 (角川文庫)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-5WI9Ol74DGw/VxcjQOZHOhI/AAAAAAAACDA/gnWSMQYuWxMYWL5TqWX-tzaO1Ud4SxlvQCKgB/s1600/61Z0ZKHdU7L._SL320_.jpg" />
<br />
<br />
短いやり取りだった。それでも灰原にしては少し話し過ぎたのか、彼は喉に渇きを覚えた。<br />
本来、灰原は人と話すことが苦手だ。口下手というよりも、人と言葉を交わすことに慣れていない。今回は話し相手が心の友、はるのっちだったからこそ、ここまで語れたと言っていい。<br />
ベッドスペースを除くと実質四畳半となる、マンションの一室が彼の住処だ。一人でも窮屈に感じる部屋である。そこに二人もいる。当然、その二人の体温だけでも、室内の温度は上がりに上がる。加えてこの夏の暑さだ。灰原にとってはダブルパンチどころではない。不慣れな会話による照れ臭さも相俟ってトリプルパンチだった。<br />
<br />
<a name='more'></a><br />
灰原はキッチンへと向かった。そこでグラスに水を注ぐや、その場ですべて飲み干した。<br />
パイン材でできた作業机の上には、先ほどの「図書館危機」が放り出されている。机の傍らに立つはるのっちはリズムを刻むように、か細い人差し指でその表紙を叩きながら言った。<br />
「でもさぁ『図書館危機』ってさ、全体的にはあんまりいらなくない? あってもなくても、別にいいようなエピソードばっかりだったような気がする」<br />
水で濡れた口元を拭いつつ戻って来た灰原が、それに答える。<br />
「あとがきにも書かれていたけど、そこは出版社側との諸事情があったみたいだね。いわゆる大人の事情ってやつで、『図書館革命』までのつなぎとして書かれたものらしい」<br />
「へぇ。大人の事情ねぇ」<br />
そう言って指の動きを止めた。<br />
「どうせお金の絡むような話なんだろうね」<br />
顔も向けずに灰原は、<br />
「そこはまぁ置いておいて、次の『図書館革命』がまたいいんだ」<br />
と言いつつ、リモコンを手に取ってエアコンのスイッチをオンにした。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898088" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61Z0ZKHdU7L. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898088" rel="nofollow" target="_blank">図書館革命 図書館戦争シリーズ (4) (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898088" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<br />
まだ冷やされていない、生ぬるい風が送風口から流れてくる。その風を眺めるようにして、はるのっちは口を開いた。<br />
「そう言えば一話完結か、続いても前後編程度だったのが、『図書館革命』だと一冊まるまる全部で一つの話って感じで、なんかちょっと壮大よね」<br />
灰原が机に戻ってきたので、はるのっちは人口の密集を避けるため、脚付きマットレスのベッドの上へと移動した。灰原は作業机の色味に合わせた、ブナ材の椅子によっこらせと腰掛けた。そして煙草に火を点け、面倒臭そうな素振りで語り始めた。<br />
「まぁ壮大だな。作戦行動中に手はつなぐ、指は絡める、社会人としては本来、あるまじきラブラブ姿だ。そんな不謹慎極まることが許されるんだから、ある意味壮大なファンタジーだな。それでいて付き合っていないとか、俺は思わずインド人の男友達同士か、とか突っ込みたかったけどな」<br />
「え、何それ? インド人ってBL多いの?」<br />
「いや、そうじゃない。あいつらは男同士でも仲が良ければ、街中でも手をつないで歩くんだ。だからと言って、ゲイとかホモってわけじゃない」<br />
「へぇ、そうなんだ」<br />
今度は失敗しない。灰原のその思惑は、外角低めに逸れていった。<br />
確かに灰原は、自分が実はラブコメ要素も結構好きなんだと、内心認めるに至った。とはいえ今はまだ他者に対しては、ラブコメ要素などというものに関心のある素振りを見せたくなかったのだ。<br />
まさか物語中のラブラブ場面を持ち出して、女子のように素直に「きゃあー、あそこよかったよねー!」なんて、はしゃげるわけがない。<br />
古き良き日本男児としての誇りだとか尊厳だとか、そんなよくわからないものを大事にしたかったのだ。いずれ公になるとしても、灰原士紋は硬派な男であると、今は見せかけておきたかったのだ。それがカッコいい男だと灰原は思っているのだ。<br />
しかしその狙いは、はるのっちには届かなかった。むしろインド人とかBLとかの方へ、関心を向かわせてしまった。<br />
「物語としては壮大というよりも、今すでに身近にまで迫って来ている問題のような気もするがな」<br />
もうラブコメ絡みの話そのものを口にしない。灰原は、そう気持ちを切り替えることにした。<br />
「原電テロ未遂事件をきっかけに、『治安維持』と『言論の自由』を天秤に掛けて、やはりテロは怖いから『言論の自由』の方を制限する。それもやむを得ないと諦める世論。そういった筋書きは、現実においても充分ありうる話だろ」<br />
「いやぁ、でも日本って基本的にテロとか少ないしねぇ。そこまで現実的かって言われると、そうでもない気がするかなぁ」<br />
「じゃあ、『治安維持』を『児童の権利を擁護するため』と置き換えて、『言論の自由』を『表現の自由』に置き換えてみたら、どうだろう。今は辛うじて創作物は、児童ポルノ禁止法の規制対象にはなっていない。でも児童絡みの事件が起きた時、たとえば犯罪者がアニメや漫画が好きだったという理由で、創作物も性犯罪を助長する原因になるとか言われて、規制の天秤に掛けられる可能性は充分ある」<br />
「ああ。そういうことかぁ」<br />
「BLだってもしかすると、やはり教育上好ましくないとか言われて、規制対象になる可能性もある」<br />
「うう。何でもかんでも規制されそうだよね……私、図書隊に入るよ。そして本を守るために、頑張って戦うことにするよ」<br />
「いや、『図書館の自由に関する宣言』は実際にあるけど、図書隊はフィクションだから」(続く)<br />
<br />
読書期間:始)2015.4.22 ~ 終)4.24灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-51544080108969862142015-08-15T20:00:00.001+09:002020-05-22T19:43:12.824+09:00「図書館危機」有川浩 (角川文庫)<img border="0" src="https://3.bp.blogspot.com/-TxOL2fBagq8/VxcjQNMA8BI/AAAAAAAACDA/X0xMHDTp4Xwy-B9JjAtWOjoVlmWQTj9kACKgB/s1600/518EGeBc49L._SL320_.jpg" /><br />
<br />
「これを見るがいい!」<br />
徒花スクモの手になる、ポップで可愛らしいイラストが描かれた表紙を灰原は指差した。そこにはミリタリー系の服を着た女性が通信機を口元にあて、何かを声高に叫んでいるような姿が描かれている。<br />
「ただのラブコメものであれば、このようなイラストが必要であろうか。否、断じて必要ではないはずだ。確かにラブコメ要素は強いと言わねばなるまい。前巻では笠原郁言うところの王子様が実は堂上であった、などという筋書きは、読み手にしたら『何を今さら。そのくらいの展開は読めておるわ』と言いたいところであるのは、共感して止まぬ。だがそこだけを指摘して、底の浅い物語だと断じることができようか。いや、できまい!」<br />
にやにやした笑いを顔に浮かべて、はるのっちは灰原の演説に聞き入っている。灰原はそんなはるのっちを意にも介さず、滔々と語り続けた。<br />
「笠原郁が戦うのは、何もメディア良化委員会やその実行部隊である良化特務機関、良化法賛同団体だけではない。一つのコミュニティに発生する人々の軋轢や小競り合い、さらには親が子供に懸けてくる勝手な理想や期待とも戦うのだ」<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389807X" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61QDc9zde-L. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389807X" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">図書館危機 図書館戦争シリーズ (3) (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F404389807X" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
はるのっちはここで小さく手を挙げ、先生に対する生徒のように抗議の声を上げた。<br />
「親の理想や期待と戦うのに、通信機や戦闘服は必要ないと思うんですけど」<br />
「うるさい。黙れ、オカマ野郎。あれは強調表現だ。戦うということを、あの姿で象徴しているにすぎんのだ」<br />
灰原は間髪入れずにその抗議を切って捨て、話し続けた。<br />
「生じてしまった親子の確執が、そう簡単に和解に至るのかと言えば、そんなことはあり得ない。そのくらいは俺だって自身の経験から知っている。それが現実だ。だがその現実は望まれるべき現実なのか? 本音はどうなのだ。できることなら和解して、親に自分を生んで育ててくれたことを感謝したい気持ちがあるのではないのか。この物語はその願望を、夢物語とはいえ疑似体験として叶えてくれているのだ。それの一体何が悪いというのか」<br />
「でもさぁ……」<br />
どうしても納得できないという様子で、口を尖らせてはるのっちは言った。<br />
「堂上が電話口で郁とやり取りする場面でさ、『ポン』っていう頭を軽く叩くような擬音を口に出すのは、ちょっとやりすぎじゃない? あそこ読んだ時は『ないわーwww』ってなったもん」<br />
「うん。まぁ、あそこは俺もそう思った。大体それまでのキャラとして、堂上はそんなことをするキャラじゃなかったからな。男視点としては、臭い。臭すぎる。そんな男いねーよ、という印象が残ったな」<br />
戦い云々について話していた灰原であったが、さすがにこの場面はないと思っていたのか、ラブコメ要素の箇所だというのに、ついはるのっちの意見に同意を示してしまった。(続く)<br />
<br />
読書期間:始)2015.4.20 ~ 終)4.22灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-30527276191603443002015-08-15T07:13:00.001+09:002020-05-22T19:39:25.005+09:00「図書館内乱」有川浩 (角川文庫)<img border="0" src="https://1.bp.blogspot.com/-BaXo6oh5KCc/VxcjQF8xBAI/AAAAAAAACDA/-eoQTXLTQJEnAHbGjSLmgoGzaExEAmaWgCKgB/s1600/51SClzSms0L._SL320_.jpg" /><br />
<br />
わずか八日間で有川浩の「図書館戦争シリーズ」を読了してしまい、灰原士紋は困惑していた。己の遅読ぶりを誰よりも知っているだけに、その驚きは並々ならぬものだ。だがそれ以上に、読後の余韻が心地よく思われた。<br />
そこへ心の友、はるのっちが口を差し挟んできた。<br />
「意外とラブコメとか好きだったんだねぇ」<br />
うるさい。黙れ、このオカマ野郎。いつもの灰原なら、そう言い返してやるところだったろう。だが、今回は言い返せなかった。<br />
というのも、自分が本当はラブラブなストーリーも大好きな人間だというのに、自分でも知らないうちにそのことをひた隠し、己は硬派であると自分に言い聞かせ、己を欺いてきただけにすぎない、ということに気付いてしまったのだ。<br />
しかし灰原も揶揄されてそのまま黙っている口ではない。読み終えて机の上に積んでいた単行本を掲げ、ラブコメだけの話ではないことを主張した。<br />
「確かに全体的には、テレビのゴールデンタイムに放送されるようなドラマ仕立てのお話ばっかりさ。ご都合主義もいいところだと糾弾されかねんところはある。でも押さえるべきポイントだって、俺はちゃんと押さえてある!」<br />
そう言って灰原は該当ページを開き、はるのっちに見せた。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898061" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51SClzSms0L. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898061" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">図書館内乱 図書館戦争シリーズ (2) (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898061" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
「ここだ。〈『子供だまし』って! 『子供だまし』ってバッカじゃないの! あったりまえじゃないのよ、子供のために書かれた本だっつの! 横から大人がしゃしゃり出て『大人の鑑賞には耐えない』とかさぁ、オモチャ屋で戦隊ロボ捕まえて『これは大人の嗜好に耐えない』とか言ってるのとおんなじくらいバカだって気付け! じゃあ買え、ASUMOでも何でも存分に!〉」<br />
灰原は声を出して、その部分を読み上げた。その直後、恥ずかしさで耳まで顔を赤くした。<br />
「ほほぉ。なるほど。確かにこういうバカな人って、実際にいるもんねぇ。そういう人種に言って聞かせてやりたいよね、私なんかじゃなくってさ」<br />
そう言ってはるのっちは目を細めながら、本当におかしそうに笑う。今にもwww(うぇっうえっうぇっ)とでも声を出しそうだ。<br />
くそっ! くそっ! とはらわたの煮える思いで、灰原は次巻の「図書館危機」を、はるのっちに見せるように持ち上げた。(続く)<br />
読書期間:始)2015.4.18 ~ 終)4.20灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-77330692522776913662015-08-11T20:00:00.001+09:002020-05-22T19:37:34.083+09:00「精霊の守り人」上橋菜穂子 (新潮文庫)<img border="0" src="https://4.bp.blogspot.com/-v5-RA0E1NR0/VxcjQKiO1BI/AAAAAAAACDA/a-06_J9kr8kqNgLv6wltkBaAwkWaJJW3gCKgB/s1600/51PBHRQIc6L._SL320_.jpg" /><br />
<br />
本屋大賞を受賞した著者の代表作の一つ、「守り人」シリーズの第一弾です。<br />
どうして本屋大賞を獲った「鹿の王」から先に読まないのか。それは私が天邪鬼だからであり、賞を獲る前にはどんな傾向の作品を書いていたのか、ということに興味があったからです。<br />
確かに今までは賞を獲った作品を優先的に読んでいました。でも、その著者の書く物語の傾向が、まず自分に合うかどうかの方が大事だなと気付いたんですね。楽しめるかどうかは、そこに掛かっている。いくらすごい賞を獲った作品でも、合わなければ間違いなく楽しめない。こんな当たり前のことに気付くまでに随分と時間が掛かってしまったものです。<br />
さて本作についてです。私には馴染みのない児童文学と呼ばれるジャンルの作品で、異世界ファンタジーのお話です。ただ、児童向けの話だというのに、主人公が三十代の女性とは此れ如何に。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101302723" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51PBHRQIc6L. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101302723" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">精霊の守り人 (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101302723" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
私としては微妙に感情移入しづらかったですね。少年少女たちが読んで、果たして感情移入できるのでしょうか。<br />
話の筋は子供でも追えるシンプルなものです。ただ漢字や言葉が児童向けとは言い難いです。大人でも、読んでいる途中で辞書を引くかもしれません。<br />
<br />
共感できたところと言いますか、この物語の言いたかったことは、これなんだろうなってところを抜粋しておきます。<br />
「なぜ、と問うてもわからない何かが突然、自分を取り巻く世界を変えてしまう。それでもその変わってしまった世界の中で、もがきながら、必死に生きていくしかないのだ。誰しもが、自分らしいもがき方で生き抜いていく。まったく後悔のない生き方など、きっとありはしないのだ」<br />
現実に置き換えて考えてみると、例えば学生だった人間が就職して社会人になった時、あるいは中学から高校に進学した時なども、自分を取り巻く世界が変わってしまいますね。誰しも子供のままではいられない。いずれは自力で五里霧中、暗中模索ででも道を切り拓いていかねばなりません。たとえどんなに無様であっても、です。<br />
辛い、苦しいと思う時もあるでしょう。もっと華麗に生きたいものだと、己の境遇を呪うかもしれません。だけどそうした姿もまた受け入れるべき自分の生き様であり、その中であがく、もがく姿こそ生きるということなのだと私は思っています。<br />
<br />
読書期間:始)2015.4.16 ~ 終)4.17灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-78641063846664153512015-08-11T08:42:00.001+09:002020-05-22T19:35:15.208+09:00「ぬしさまへ」畠中恵 (新潮文庫)<img border="0" src="https://1.bp.blogspot.com/--IKJgQ3sZZA/VxcjQOfz-iI/AAAAAAAACDA/Obnp2b1vXTUWn4e-W-zic_pz5GX92YbogCKgB/s1600/51Q7FE0RNGL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
しばらくお堅い本が続いたので、そろそろ難しく考えずに済む本を読もうと思って選んだのが、この一冊です。「しゃばけ」シリーズの第二作目にあたります。<br />
前回の「しゃばけ」は長編でしたけども、こちらは一話五十頁前後の短編集になります。長編の時と違って中だるみも少なくて、気軽に読めました。<br />
あくまでファンタジー小説で、ミステリーや探偵小説ではありません。そういう意味で「空のビードロ」と「仁吉の思い人」の二篇の読後感は、好印象を残してくれました。<br />
もしもミステリーや推理小説の類だと考えて読むと、六話目「虹を見し事」あたりは、ちょっとイラッと来ること請け合いです。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101461228" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51uWzCIf8YL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101461228" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101461228" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
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巻末の解説では「一言で説明するならば、『お江戸日本橋』の大店、長崎屋の若旦那一太郎が、彼を見守る妖怪たちの力を借りつつ、江戸を騒がす難(怪)事件を解き明かしていく」物語なのだそうですけども、この解説には頭を傾げるばかりです。<br />
なぜなら実際にはほとんどの場合、江戸を騒がす事件というよりも、むしろ若旦那個人の周辺で起こる事件だけを解き明かす物語なのですから。<br />
とはいえ、難しく考えることなく読める、毒気のない小説であることには変わりありません。時にはこういう邪気のない物語を読んで、魂の浄化をしておくのも悪くないと思いました。<br />
<br />
読書期間:始)2015.4.9 ~ 終)4.15灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-14251261187388888592015-08-10T05:00:00.001+09:002020-05-22T19:28:36.598+09:00「佐高信の筆刀両断」佐高信 (現代教養文庫)<img border="0" src="https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEgfXeTX_U0UtYsIAyt4CmHIZLlKXhIACHUDu0kew416VJncTR_lK1JeLIgAWDwb4i_bteDMvO3NNhLHEvk4pC6p6dPxWgiZysW6FSDCK79BIlZ6dV0vgFiHtM0pbiViK0iBnzKqGvdGCDo/s200/61c57RSncQL._SL500_SX356_BO1204203200_-301x4201.jpg" />
<br />
<br />
企業、官僚、政治家、経営者、会社員たちへの批評が主となる内容の一冊です。批評というよりも批判という方が正しいかもしれません。<br />
かなり辛辣ですけども、的を射てるなぁと思うところがしばしばありました。さすがにその全てをここに書き出すような無粋な真似はしませんけどもね。<br />
ただ残念な点は、具体的な内容や事柄を省略して意見を述べる、というスタイルでしょうか。その具体的な内容や事柄を知らない人に対しては説得力に欠け、「ソースを出せよ」と言われてしまう恐れがありそうです。元々が雑誌掲載のエッセイだったという制約も、その原因かもしれませんね。<br />
そのスタイルを踏襲する形になりますけども、私も本文の具体的な箇所を端折りつつ、強く共感してメモしておいた部分だけを、ここに書き出しておきます。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4822803619" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/4113HG6QP4L. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4822803619" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">佐高信の筆刀両断</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525083&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4822803619" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<blockquote>
歴史は「一将功成って万骨枯る」の一将といった、一人や二人の英雄によってうごかされるものではない。<br />
残酷なのはテレビではない。現実なのである。<br />
悪い女は強い女。怠惰で愚鈍では「悪」は行えない。<br />
下半身の問題を論じるのは品がない、という発言こそ女性蔑視の表れ。<br />
一民族国家では他民族への理解が行き届かず、自民族の伝統や制度を他民族に押し付けがちになる。<br />
「いずれの方面も良くない。米軍をピシャリと叩くことはできないのか」(S19.8.5. 大日本帝国軍 最高責任者の発言)<br />
連帯保証人でも何でも、判子を押したら、その人は責任から免れない。なのに最高責任者が多くの人間を戦場に送り、彼らに戦争の罪を犯させたのにも関わらず、その最高責任者に責任はないと論じるのは、彼にはその責任を負う能力がないとしてバカにするのと等しいのではないか。</blockquote>
本書には続編のようなものがあるようです。でも決め付けや思い込みの強い部分もある著者という観もあるので、また読むかは微妙ですね。<br />
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読書期間:始)2015.3.14 ~ 終)4.8灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-18682936315814411022015-08-09T20:00:00.002+09:002020-05-21T20:41:33.533+09:00「そして世界に不確定性がもたらされた-ハイゼンベルクの物理学革命」デイヴィッド リンドリー 阪本 芳久 訳 (早川書房)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-QOwJQUgmXbU/VxcjQP0Tv6I/AAAAAAAACDs/P-w7L3mz_Rsw2guI-Pwu3OprSmtRBnsAQCKgB/s1600/51QTbKs3SGL._SL320_.jpg" />
<br />
<br />
量子論の成立についての物語というべきでしょうか。先日読んだ「量子革命」と内容的には大きく異なりません。ただ決定的な違いとしては、本書の著者はアインシュタインを頭の固い、時代遅れの耄碌爺さんのように見ている節がある、という点でしょうか。<br />
<a href="https://books.note4mon.com/2015/08/kumar-147.html" style="text-decoration: none;"><div class="link-box"><div class="img-box"><div style="background-image: url("https://3.bp.blogspot.com/-Er5PKaP8XUQ/VxcjQPIRq9I/AAAAAAAACDs/Td_i4BEi8QwF54S4rIlyWYmdMlMeMXg8QCKgB/w1200-h630-p-k-no-nu/61fb4rEhtvL._SL320_.jpg");"></div></div><div class="text-box"><p class="title">「量子革命-アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突」マンジット・クマール 青木 薫 訳 (新潮社)</p><p class="description">マンジット・クマール「量子革命-アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突」アインシュタインの偉大さが揺らぐことは、少なくとも私の中ではありません。如何にボーアがコペンハーゲン解釈を世に広めようと、如何にハイゼンベルクの不確定性原理が間違いのないものだとしても、やはり私はアインシュタインを……</p></div></div></a>
著者の「量子力学が正しく、古典物理学に勝利した」という視点が正しいかどうかはともかく、古典物理学の代表のようにアインシュタインを論じている点が、非常に不愉快でした。<br />
そもそもこの著者の考え方は、一貫していません。第十六章の「シュレーディンガーの猫」について、著者が自身の考えを述べる部分があります。ここに引用します。<div><br /><blockquote>
原子内での電子ジャンプと放射性原子核の崩壊の二つは、量子力学の不確定性に支配された明確な過程であり、観測者が目を向けているかいないかに関わりなく進行するのである</blockquote><div><br /></div> この考えは、物理的存在は、観測者の有無に関わりなく、物理的実在として存在する、というEPR論文の主張と同じになってしまうのではないでしょうか。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4152088648" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51QTbKs3SGL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4152088648" rel="nofollow" target="_blank">そして世界に不確定性がもたらされた―ハイゼンベルクの物理学革命</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4152088648" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
<br />
量子論の勝利を謳いあげつつ、アインシュタインの敗北をあげつらう姿は、自身をも同じくあげつらうことになるのですから滑稽です。<br />
それにしても量子論は謎だらけですね。確率を表しているのか、波としての性質すなわち波動を表しているのか。そうかと思えば粒子としての性質をもって観測もされる。加えて、その数の示す意味がわからなくとも、その理論を利用・応用することで現代科学技術を築き上げてきたわけですから、まったく不思議としか言いようがない気分になります。<br />
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読書期間:始)2015.2.26 ~ 終)3.13</div>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-40423473568037235442015-08-04T21:03:00.001+09:002020-05-21T20:34:16.158+09:00「文章表現 四〇〇字からのレッスン」梅田卓夫 (ちくま学芸文庫)<img border="0" src="https://4.bp.blogspot.com/-KJ7GpQP6cMs/VxcjQKb_-qI/AAAAAAAACDs/mpfjfCR6K_ojE1_XEpctG1sFRU6BCPJswCKgB/s1600/51G4Z5A7DAL._SL320_.jpg" />
<br />
<br />
まず第一章で、本書の説明があります。<br />
特定のジャンルの書き方を指南するのではなく、また文章作成の一般ルールの習得を目指すものでもない。すべての文章表現に共通する創造的表現の基本事項と、それに向き合う時に直面する課題を乗り越える手順、及びその達成感を会得することに重点を置く。<br />
何だか難しそうな話ですね。<br />
とりあえずこの章で目に留まったところは、「言葉によって記述される世界は、現実世界そのものではない。言葉はその性質上、事実のすべてを記述することはできない。文章は書き手の視点による、世界についての解釈、言い換えれば世界の再構築であり、新たな世界の創造である」というような著者の論です。激しく同意です。<br />
以下の章では、レッスンを通して具体的な方法を伝授していく、という流れになります。途中で「メモ論」「断片論」といった抽象的な著者の論が、哲学的で嫌いではありません。特に「人間が認識できるのは『世界』あるいは『事象』の一側面=断片だけである。全体像は概念としてのみ存在し、実際の全体像は認識(知覚)できない。そして概念は、目の前にある実物と異なる」といったところは、いいですね。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4480086129" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51G4Z5A7DAL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4480086129" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">文章表現400字からのレッスン (ちくま学芸文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4480086129" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
とはいえ、手離しで著者の論に同意するわけではありません。ところどころ綻びがあり、難癖を付けようと思えば、いくらでもできそうですから。<br />
たとえば著者は文章と人格は別物だと言います。私も概ね同意します。ですが、文章が書き手そのもの(総体)ではないとしても、書き手の断片だとすれば、それは総体を構成する断片、すなわち書き手という人間の一側面ということになります。<br />
そもそも事物や事象を「全体」として捉えることはできない、と著者は述べています。「部分(=断片)」としてしか捉えられないとも述べています。<br />
であれば、文章という断片から総体としての書き手の人物像を、概念として捉える行為=文章と人格を一致させる行為はまったくの的外れではない、ということになりえます。<br />
なぜなら文章は思考の断片や五感の言語化、すなわち「個人」の表現であり、たとえそれがその人の断片(=一側面)であったとしても、個人と完全に切り離されたものではありえません。皮肉なことに、創造的な文章であればあるほどに。<br />
このような感じで反論は可能かなぁと思いますけども、著者の言わんとするところには概ね同意できる次第です。<br />
<br />
読書期間:始)2015.2.20 ~ 終)2.25灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-70245348086854676772015-08-03T06:00:00.001+09:002020-05-21T20:32:05.965+09:00「量子革命-アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突」マンジット・クマール 青木 薫 訳 (新潮社)<img border="0" src="https://3.bp.blogspot.com/-Er5PKaP8XUQ/VxcjQPIRq9I/AAAAAAAACDs/Td_i4BEi8QwF54S4rIlyWYmdMlMeMXg8QCKgB/s1600/61fb4rEhtvL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
アインシュタインの偉大さが揺らぐことは、少なくとも私の中ではありません。如何にボーアがコペンハーゲン解釈を世に広めようと、如何にハイゼンベルクの不確定性原理が間違いのないものだとしても、やはり私はアインシュタインを支持したいと思います。<br />
本書は全体的に専門用語、学術用語がよく現れます。実験内容については具体的、且つわかりやすい説明がありません。従って、この道の門外漢である私が理解するには、少しばかり努力を要しました。<br />
それでも私はアインシュタインの信じる物質の実在を支持したいのです。コペンハーゲン解釈が物質の実在についての説明を断念したことは、物理学は形而上学的な哲学と何ら変わらないものになってしまうことを意味するのではないのでしょうか。それはどうも納得がいきません。<br />
とはいえ、ボーアの主張するところで、あまりメジャーではない「相補性」という考え方については賛同できます。「物理学の仕事は、自然を見出すことではない。自然について何が言えるか(記述できるか)である」という考え方です。これは言葉の限界と同様の問題を孕んでいるような気がするのです。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4102200819" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/516QdX6MIsL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4102200819" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">量子革命: アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4102200819" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
ですがそのことと、実在の否定は別物です。<br />
量子論についてはまだ研究が進んでおり、技術への応用によって現代文明は発展を遂げている途上です。なのに、その解釈については、いまだに謎のまま残されているようです。<br />
文系の哲学志向の人間である私としては、解き明かす順番が逆のように見えて仕方ありません。<br />
物質はあるのか、ないのか。はっきりしろ。そう言いたくなるのです。もちろん私の考え方としては、まず実在ありき、というアインシュタインの主張を支持するところではあるのですけれどもね。<br />
現在は超ひも理論や、その基礎となる十次元の世界構造について、研究が進められていると聞きます。いずれにせよ目には見えない世界の話です。<br />
もちろんそれがわかったからと言って、私に何かできるわけではありません。単なる知的好奇心の対象でしかないのです。それでもこういうことについて、時々考えを巡らせたりするのは、やはりいい刺激になって面白いですね。<br />
<br />
読書期間:始)2015.1.25 ~ 終)2.19灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-4819122854851770952015-08-02T06:23:00.001+09:002020-05-21T20:27:45.814+09:00「キングを探せ」法月綸太郎 (講談社)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-a6fh7M5zdQ4/VxcjQHCNmyI/AAAAAAAACDU/sbjCbKPlROcr1OuTdomtd3ZGDi-viFc-gCKgB/s1600/51UHF9mJyeL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
エラリー・クイーンの影響を受け過ぎ。というより、むしろ模倣と言った方が近いレベルの本格推理小説です。ここまでやるならいっそ「読者への挑戦状」の頁も差し挟めばいいのに。<br />
とはいえ、作品の出来そのものは決して悪くありません。<br />
話としては、冒頭でまったくの赤の他人四人組が集まり、それぞれ何らかの理由で死んで欲しい人間を、交換殺人という方法で殺害する相談をする場面から始まります。<br />
誰が誰をターゲットにするのか。実行の順番はどうするのか。これはバイスクルと呼ばれる種類のトランプを使って決定します。この時に条件があります。自分で自分のターゲットを殺害する組み合わせは不可。加えてAさんがBさんのターゲット担当、BさんがAさんのターゲット担当、残ったCさんとDさんがお互いのターゲットを担当、というような相互交換になる組み合わせは不可、というものです。<br />
<br />
読者の推理する箇所は、誰が誰のターゲットを殺害することになったのか、という点になります。最後の難関を除けば、論理的な推理を進めていくことで、ある程度は解けます。<br />
<br />
問題はカードの絵柄についての知識です。これは実物のバイスクルを知らないと無理でしょ。逆に言えば、実際のバイスクルを知る人間がそう多くはない、という現実を悪用した謎掛けになっているのがこの作品の特徴です。私はそこが気に入らない。知っているかどうかだけの問題で、そこに論理や推理は入り込む余地はないのですから。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4062931826" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/511TbP2i6oL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4062931826" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">キングを探せ (講談社文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4062931826" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
ちなみに「バイスクル 絵柄」で検索すると分かりますけども、バイスクルと一言で言っても、その絵柄はかなり多様です。作品に出て来たスタンダードなものばかりというわけではありません。バイスクルの絵柄を知っているという人でも、もしかするとその絵柄は小説で扱われたものとは全然違うケースもありえるのです。<br />
<br />
その点を除けば、第一部での四人のやり取りから、最後に残ったカード=関本が引き受けたカード(殺人)が何だったのか、という謎掛けは面白いですね。そのカードが不可の条件に触れてしまうKではおかしいわけですから。関本が引き受けたカードは、王様の絵柄ではあってもキングではないカード、となります。<br />
おっと。少し話し過ぎたか。まだ組織に消されたくないので、今回はこの辺で失礼させてもらいますよ。<br />
読書期間:始)2015.1.20 ~終)1.24灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-1958237839808784282015-08-01T10:46:00.001+09:002020-05-21T20:25:28.493+09:00「陽気なギャングの日常と襲撃」伊坂幸太郎 (祥伝社文庫)<img border="0" height="320" src="https://2.bp.blogspot.com/-S0avf9awCyE/VxcjQHzV9EI/AAAAAAAACDs/gL5GfDg9dVgINNG7FwnDy2Iuu9MP9AFCgCKgB/s320/51hS158DdBL._SL320_.jpg" width="222" />
<br />
<br />
前作「陽気なギャングが地球を回す」の四人組の銀行強盗たち、それぞれの日常を描く小説です。<br />
第一章は連作短編の形で各キャラの性格や特徴、特技が描かれているので、前作を読んでいなくてもすぐに飲み込めるようになっていて親切です。<br />
そして一話ごとにひとまず決着を見るものの、後に続く第二章・第三章へとそれらのエピソードが全て繋がっていきます。思わず「ラッシュライフ」を思い出してしまいそうな構成です。<br />
<br />
ちなみに四人の中で私が好きなのは雪子です。あまり目立つタイプのキャラではありません。<br />
どちらかと言えば冷静沈着で、目で人を殺すようなタイプです。<br />
とはいえ、彼ら四人は誰を挙げても、ちょっと一筋縄ではいかないような人たちばかりですけどもね。<br />
<br />
雪子は物静かなタイプに見えて、実は野次馬根性というか好奇心旺盛なところがあります。<br />
普段はそうとは見えないように、落ち着いた振る舞いをしていますけども、大胆で強かなところがしばしば出てきます。<br />
そのギャップがいいんですよね。<br />
<br />
それにしても、なぜ彼らは強盗なのに人助けをするのか。<br />
この説明を、ボーナストラックで取ってつけたように祥子が口にします。<br />
この部分は別になくてもよかったんじゃないかなぁ、とは思いますけども、要は悪人正機説みたいなものだっていうことですか。<br />
日頃悪いことばかりしているから、時々全く無関係な人を助けたりして、バランスを取っているということなのでしょう。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396335210" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51s15cyC+bL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396335210" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396335210" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
さて、感想ですけども、私としては前作の方がよかったなぁという感じです。<br />
ただ前作では裏切る女として描かれた雪子が、決して峰不二子ばりにしょっちゅう裏切るような人間じゃなくて、どちらかと言えば、野次馬根性と旺盛な好奇心を併せ持ち、時には人情家の一面をも持つ女性として描かれていたのが、何となく嬉しいですね。<br />
<br />
前作と本作を跨る形での謎の一つに、なぜ祥子は響野なんかと結婚してしまったのか、というものがあります。<br />
二人の結婚は由々しき事態です。ですがこの謎の解き明かしは、どうやらなされないようです。<br />
<br />
響野、嫌いじゃないんだけどなぁ。<br />
ただ実際に近くにいたら、騒がしくてうっとおしそうなんですよね。<br />
友達にはしたくないタイプかな。<br />
<br />
読書期間:始)2015.1.13 ~ 終)1.19灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-19039841728602440062015-07-31T05:00:00.001+09:002020-05-21T20:22:30.083+09:00「生物と無生物のあいだ」福岡伸一 (講談社現代新書)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-Q628L1flR9I/VxcjQCbxdTI/AAAAAAAACDc/90md0uscdjUQcvEzWlugMmSZ--_Z_fwWACKgB/s320/51oeIDl3HxL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
前もって言っておこう。これからここに書くことは感想であって、解説ではない。学術書の類いについての読書感想は、ややもすると解説もどきになってしまう。そのことを念頭に置き、忌避するためにも、予めここに宣言しておくのである。<br />
<br />
なお動的平衡とは何かということについて、ここでは敢えて言及しない。興味を持っている方は、実際に本書をあたって頂きたい。<br />
<br />
クリック、ワトソン、ウィルキンズ、許すまじ。かの者たちは、謂わば盗人であり、真に評価されるべきは、ロザリンド・フランクリン女史ではないか。斯様な不正が罷り通ってよいものか。否、断じてよいわけがない。<br />
<br />
物理科学の学問世界とは、純粋な探究心と純真無垢なつぶらな瞳を持つ科学者たちが日夜、あれやこれやと切磋琢磨しているところだと思い込んでいた私が愚かであった。社会のしがらみは、科学の世界をも蝕んでいたのだ。<br />
<br />
生命はエントロピー増大の法則に抗う。そしてその抗うシステムそのものが生命だと言える。生命とはミクロなパーツから成る精巧な模型のようなものではないのだ。<br />
<br />
エントロピー増大の法則に抗うため、すなわち秩序を保つために、生物は多くの原子や分子から成る必然性があった。その当然の帰結として、生物は原子や分子よりはるかに大きなサイズとなった。<br />
<br />
多くの人間から成る社会も、一つの生物だと言われることがある。確かによく似ている。そして社会に生きる人間は、時に一つの歯車として喩えられる。だが歯車ならば、まだいいではないか。もし一つでも歯車がなければ、機械は動かなくなる。それは機械という大きなシステムにとって、歯車は存在価値があるということだ。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4061498916" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/31Kr4WIJYHL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4061498916" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4061498916" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
実際には一個人がいようがいまいが、社会はあり続ける。如何なる国際的要人であれ、いないならいないなりに世界は機能するようにできている。ノックアウトマウスの実験結果と同じだ。確かにまるで生物のようだ。<br />
<br />
社会という生物も存在し続けるため、動的平衡を保っていると言える。<br />
そして生命というシステムそのものは、いまだ人間の手に負えない不可侵の領域にある。なのに人類が、社会という生物に支配されているというのは、どこか滑稽ではあるまいか。<br />
<br />
読書期間:始)2015.1.6 ~ 終)1.12灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-42409701158575706712015-07-29T21:00:00.001+09:002020-05-21T20:20:04.322+09:00「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎 (祥伝社文庫)<img border="0" src="https://4.bp.blogspot.com/-_cCwehRYHTY/VxcjQDeDGBI/AAAAAAAACDs/LCM2sBnpq_wSkaDcpfSryqYrkCDfaXujwCKgB/s1600/6120nM3mpAL._SL320_.jpg" />
<br />
<br />
四人組の銀行強盗たちの活躍(?)を描く、初期の伊坂幸太郎氏の著作です。<br />
初期の著作ということもあって、やや透けているところがあります。<br />
それでもやはり伏線の置き方とその回収の手際は見事です。<br />
<br />
まず主人公たち四人組は銀行強盗ですから犯罪者です。<br />
ですが彼ら四人は、決して悪人というわけではない、というところが読者に受け入れられやすい要素ですね。<br />
ただしストーリーや話の盛り上げ方は月並みと言っておきます。<br />
これは氏の作品全般に言えることで、この著作も本筋から見れば瑣末と言える細部にこそ味わいがあります。<br />
<br />
例えば響野という四人組の一人と、その仲間の雪子の息子、慎一の次のようなやり取りです。<br />
いじめを受けている同級生の救出を響野に求める慎一が、弱肉強食について訊ねる場面です。<br />
<br />
動物の世界は弱肉強食の世界であり、足が不自由な動物などは強者の餌となってすぐに死ぬ。<br />
それと同様に人間も弱い奴が虐められるのは当然だ、と彼の友人たちが話している、ということを響野に告げます。<br />
果たしてそうなのか、と響野に訊ねるのです。<br />
<br />
対する響野の答えは、こうです。<br />
<blockquote>
「ライオンが弱いライオンをいじめ殺すか? 弱いライオンは確かに死んでしまうかもしれないが、それは自然にそうなるだけだ。仲間内で食い合ったりしない」</blockquote>
<br />
<blockquote>
「強いだとか弱いだとかは、何によって決まるんだ? (中略)弱肉強食とほざいているお前の友達は自分より強い奴に殺されることを良しとしているのか? 身体の頑丈さや足の丈夫さで決まるって言うんだったら、慎一、お前は今から四輪駆動の車に乗って、そいつらをはねてくればいい。『パジェロに潰される弱い奴らは死ぬのが当然だ』と教えてやれ」</blockquote>
<br />
<blockquote>
「どうしてライオンがガゼルを食うかと言えば、食わないと死ぬからだ。弱肉強食ってのは食物連鎖に参加している者たちが口にする台詞だよ。自分が死んでも誰の餌にもならないような、食っても美味くもないような中学生が『弱肉強食』なんて言う権利はないんだよ」</blockquote>
<br />
中学生に教える内容としては、結構過激なものですね。<br />
<br />
また別の場面で四人組の一人、久遠が口にする台詞も感じるところがあります。<br />
<blockquote>
「動物は強者に従うけど、人間は強そうな人に従うだけなんだ。絶対的な強さなんて分からないからね。強そうな人とか、怖そうな人とかさ、そういう『強そうな』っていう幻想に騙されちゃう」</blockquote>
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396332688" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/510SXyoXz2L. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396332688" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4396332688" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
うむうむ、と思わず共感してしまいます。<br />
<br />
私が思うこの作品の最大のミステリーは、四人組のリーダー格である成瀬の息子タダシ君です。<br />
彼は近い未来に成瀬が見舞われる危機を予知していたのか。<br />
それを示唆するために電話を掛けたのか。<br />
<br />
読み手の解釈に委ねられた部分ですね。<br />
とはいえ素直に解釈すれば、予知して示唆するために電話を掛けてきたと思えます。<br />
でもやっぱり真実は闇の中ですね。<br />
<br />
感想短歌<br />
気にするな 金は天下の回りもの<br />
生きてる実感 ロマンはどこだ<br />
<br />
読書期間:始)2014.12.26 ~ 終)2015.1.5灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-32142054249199650602015-07-28T08:11:00.001+09:002020-05-21T20:16:25.158+09:00「Aサイズ殺人事件」阿刀田高 (文春文庫)<div class="separator" style="clear: both; text-align: center;">
<img border="0" src="https://4.bp.blogspot.com/-n55WSP93-as/VxcjQBg5itI/AAAAAAAACDM/FjKwn19Bjw8UvUif03CtWJEv_bNyM4AdwCKgB/s640/spring_1461132765.jpg" /></div>
<br />
短編の名手が手掛けた、本格推理小説風連作短編です。いわゆる安楽椅子探偵物で、大雑把な基本パターンとしては、語り手の刑事が迷宮入りしそうな事件を、探偵役である方丈和尚のところへ持ち込む。そして和尚の助言をもらい、事件を解決に導くという筋立てです。<br />
全体として、恐らく駄作の部類に入る出来栄えかと思います。第一に和尚の推理の基となる質問が、まず酷いのです。そして推理の道筋がまた酷いのです。<br />
<br />
一話目。本書のタイトルにもなっている「Aサイズ殺人事件」です。この「Aサイズ」とは女性のバストサイズを指しています。<br />
一人の女性が殺され、その犯人がわからない。まず被害者である女性のことについて、あれこれ質問する和尚。そこで分かったのが、被害者である女性は三人の男性と肉体関係があったということ。そこから類推すると仮にもう一人、四人目の男がいても不思議ではない、そこまではいいのです。ですがそれと女性の胸のサイズは関係ないだろう、というのが正直な感想です。<br />
<br />
二話目。和尚が知りたかったことは、前入居者のことと部屋にベランダがあるかどうか、という点です。にもかかわらず、ペットがどうだとかベランダに何があるだとか、和尚の質問そのものが読み手を煙に巻くのを目的としているようにしか思えません。<br />
<br />
三話目。重要なのは死んだ男のネクタイではなく、靴の色とその靴を奥さんが覚えているかどうかということなのに、ここでも読み手をはぐらかすためだけのような質問を和尚はします。<br />
<br />
四話目と五話目は、この手の推理物では邪道扱いされる「犯人が複数人」というパターンに至ります。五話目ではさらに酷いことになります。滋賀の雄琴が出てきて、そこから犯人は風俗で働いていた経験のある女性、という迷推理を見せます。風俗業は雄琴にしかないのですか。むしろ雄琴には風俗業しかない、とでもいうのですか。そもそも犯人が風俗経験を持つという推理をどこから導き出したのか、さっぱり不明です。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4167278022" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41FHtAMkeuL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4167278022" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Aサイズ殺人事件 (文春文庫 (278‐2))</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4167278022" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
不思議系の話を語ることにかけては名手として知られる著者でも、畑が違うとここまで酷くなるのかと思い知らされました。<br />
<br />
感想短歌<br />
こじつけの推理を見せる和尚さん<br />
読者の推理を邪魔したいだけ<br />
<br />
読書期間:始)2014.12.22 ~ 終)12.25灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-49788737533441351672015-07-27T05:58:00.001+09:002020-05-21T20:14:23.683+09:00「悪魔のいる天国」星新一 (新潮文庫)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-W2N3Ua1omqc/VxcjQImiOsI/AAAAAAAACDY/8Sw-hKcwoq4FqskG2YSkClH1eO2ldpAWACKgB/s1600/51gNE66-XLL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
ショートショートの神様として知られる星新一氏のSF短編集の一つです。テレビ番組の「世にも奇妙な物語」の原作として使われることもよくあるので、名前くらいはご存知の方も多いのではないでしょうか。<br />
<br />
氏の著作は、宇宙や未来の世界を舞台とした物語が多いのが特徴です。<br />
「未来予想図」あるいは「科学の発展」という言葉を聞くと、つい幸せな未来や世界を思い描いてしまいがちだと思います。ですが氏が描く未来予想図は、極端に冷徹でシニカルなものです。その極端さが、読者に「そんなバカな。ありえない。荒唐無稽な物語だ」という印象を、善良な読者に与えます。<br />
また同時に、氏の著作は救いのない話が多く、後味は決していいものだとは言えません。人間性悪説に基づいているのか? と思えるほど、いわゆる「善人」と呼べる人間が出て来ません。登場する人物は軒並み、残酷な人間です。<br />
<br />
<br />
ショートショートという物語の構成上、極端な話として短くまとめる必要があったことは想像に難くありません。その極端さが荒唐無稽な印象を生み出しているのも確かでしょう。<br />
ですが読後には、残酷でない人間など果たしてこの世にいるのだろうか、という逆説的な問いが、現実世界における人間に対して頭をもたげて来ます。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101098069" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51gNE66-XLL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101098069" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">悪魔のいる天国 (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101098069" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
人間の本質的で暗い部分というものは、誰にでもあるのではないでしょうか。ただ普段は目を背けているだけで、それをできるだけ意識しないように努めてはいるのでしょうけれども。氏はそういう部分に焦点を当て、白日の下に荒唐無稽な話として読者の目に曝している、という感想を私は持ちました。<br />
感想短歌<br />
幸せな己の未来期待する<br />
他人の不幸は止むを得まい<br />
読書期間:始)2014.12.14 ~ 終)12.22灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-42521222271276623332015-07-26T21:00:00.001+09:002020-05-21T20:12:20.601+09:00「ハンニバル」トマス・ハリス (新潮文庫)<img border="0" src="https://1.bp.blogspot.com/-0qC6hBcPOOI/VxcjQFZuy1I/AAAAAAAACDY/vWI3-br2GPMxGSZ2vipqHs0VJe-od0XvQCKgB/s320/51XG6503RWL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
今回もレクター博士は多くの人間を殺害します。ですが彼は快楽殺人犯や殺人中毒者というわけではありません。 彼の中の価値基準に照らして、生きる値打ちがないと判断した者を、またある時は、彼を追い詰める者を返り討ちにして殺害します。<br />
<br />
しかし、ではなぜクラリスは殺されないのか。<br />
クラリスのことを好きになってしまったから?<br />
シンプルな理由ではあるけども、恐らくそう説明する方がわかりやすいかもしれません。しかし、ではレクター博士は彼女のどこに魅了されたのか、という疑問が持ち上がってきます。<br />
そこを読み解くことが、最終的にはレクター博士の料理に供される者の人選が、どういう基準によるのかというところに繋がるのだと思います。<br />
<br />
我々にとってはごく普通のありきたりな人生も、彼の目には生への冒涜、すなわち許しがたい罪に映るのです。だから殺す。<br />
<br />
私たちも恐らく彼同様、自分なりの倫理観や道徳観を持って生活しています。その中で許しがたい事象や人間に出会ったとしても、社会の法を重んじ、私刑を行うことはありません。<br />
<br />
彼にはその「社会の法」という歯止めがない。<br />
このことが、読む人によっては彼はただの人殺しだ、と言わしめることもあれば、逆に自らの憤懣を代行して晴らしてくれていると感じる読者を作り出しているのではないでしょうか。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB0876XZMF3" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51VyFiYgKXL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB0876XZMF3" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">ハンニバル(上)(新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2FB0876XZMF3" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
本作はパッツイ刑事の最期と、クレンドラーの前頭葉の晩餐シーンがあまりにも凄惨過ぎて、他の場面の印象が薄れてしまいます。<br />
実際には、いろいろな哲学的思索を私たちに見せてくれるのですけども、あいにく先の二つの場面の衝撃が大きすぎて、頭に入りにくかったですね。それに加えて、著者のトマス・ハリスは決して上手い作家ではないからだとも思っています。<br />
<br />
私はフィレンツェの街の描写が好きでした。いつか実際のフィレンツェをこの目で見てみたいなぁ、と感じました。作品の内容に照らすと、そんな暢気な感想をよく持てるな、と言われてしまいそうですけども。<br />
感想短歌<br />
子羊が勇気を出してミイラ取り<br />
行きはよいよい 帰りは怖い<br />
読書期間:始)2014.11.1 ~ 終)12.14灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-84431247293812237032014-12-10T05:23:00.001+09:002020-05-20T17:06:12.288+09:00「東拘永夜抄」加藤智大 (批評社)<img border="0" src="https://3.bp.blogspot.com/-6a3wSInOb0A/VxcjQLicbfI/AAAAAAAACDs/hAtdaVtqmYUIMz2KG3Q1EI3ujbXIdCmawCKgB/s320/414ZvwghOaL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
秋葉原連続殺傷事件の加藤智大死刑囚の著書、三冊目です。<br />
これを読む前、先の二冊「解」と「解+」を読んでから、ずっと何かが引っ掛かっていました。<br />
<br />
彼の自己分析や事件の説明は、部分的に見ていくと正鵠を射た、冷静な叙述のような印象を受けます。<br />
また彼の説明の内容について、彼の考え方が好きじゃないといった好みの問題と摩り替えられても困る。<br />
事実そうであったのだから、そうだと説明するしかしようがない、といった主張も理解の余地はあります。<br />
だけど私の中では、何かがずっと引っ掛かっていたのです。<br />
<br />
本書では先の二冊の説明内容が、物語風というスタイルで書かれています。<br />
まず「解」では、彼はなりすましと荒らしに対して痛み(しつけ)を与えることが目的で、その手段としての事件を実行したという説明をしていました。<br />
<br />
これが後の「解+」では、事件を起こすに至った理由をもう一度振り返って、説明をします。<br />
彼は事件を起こすことを躊躇していたものの、すでに犯行予告の書き込みを掲示板に済ませていました。<br />
そのため、その罪での懲役に服すのではないかと考えます。<br />
そして懲役に服すことによって孤立して生きるくらいなら、死刑にされて死んだ方がマシ、という思いが自分の背中を押した、と説明を改めています。<br />
<br />
なお彼は本書でも警察の取り調べに対して批判的です。<br />
供述調書の作成中、車やナイフの説明に「人を殺すため」という文言を加えることを強いられた、と言います。<br />
ここで彼と警察の間に言葉の齟齬が発生しています。<br />
<br />
一般的に考えても「ため」という言葉は目的を意味しており、彼の目的は人を殺すことではなく、「解」では「しつけ」のため、「解+」では懲役による孤立を回避するため、ということになります。<br />
つまり、その目的達成の手段として事件を起こした、という理屈です。<br />
<br />
目的達成の手段が他にも思い付いていたり、なりすましや荒らしがもっと早くに反省していれば、秋葉原連続殺傷事件という手段は必要ではなかった、と説明します。<br />
<br />
私はここで、警察の肩を持つ形になりますけれども、自分なりの意見を口にしてみたいと思います。<br />
以下、例え話として続けます。紙を切るというのが目的で、そのための手段として鋏(はさみ)を使おうとしたとします。<br />
ですが、その鋏は自作しなければいけない、とします。<br />
そのために材料や部品を集める。このような場合、鋏という手段を完成させるための「ため」は、紙を切る「ため」でしょうか。<br />
<br />
ここは大局的な目的達成を目指す意味合いの「ため」と、手段の完成という「小目的」を目指す意味合いの「ため」を区別するべきでしょう。<br />
<br />
すなわち先の例え話と彼の説明を照らし合わせると、「紙を切る」=「しつけ」あるいは「孤立回避」、「鋏」=「事件」、「材料や部品」=「ナイフ、車」という形で対応します。<br />
<br />
何のためにナイフを買って、何のために車を借りたのかと問われて、彼は大局的な目的達成のためと説明し、警察の方は手段の完成という局地的な目的としての説明を求めた、と言えます。<br />
<br />
意識的なのか無意識的なのかはともかく、このような言葉遊びめいた説明をすることで、彼は相手を煙に巻くような印象を他者に与え、その結果、不快感まで覚えさせているのではないでしょうか。<br />
彼の著書を読むと、このようなもやもやっとした不快感に見舞われます。<br />
そして私もそこに何かずっと引っ掛かりを覚えていたわけです。<br />
<br />
<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4826505914" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/414ZvwghOaL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4826505914" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">東拘永夜抄</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4826505914" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
<br />
そして最後に、多くの方が引っ掛かりを覚えているのではないか、と思われる点について申し上げます。<br />
彼は、悪いことをした相手を改心させるために、その相手を痛い目に遭わせる(しつける)、と説明します。<br />
そして同様のことを、みんなも日常的に行っているではないかと言います。<br />
<br />
ここで私は問います。なぜ改心させようとするのか、何のために改心させるのか、と。<br />
また一方で、仮に悪戯をした子供が親に躾けられて、その時に子供が親に謝るのは何故か、何のためか、と問います。<br />
<br />
彼は、人はみんな大なり小なり自分の「思い通りにする」ために、人を痛い目に遭わせているではないか、と言います。<br />
私は答えます。<br />
問題は「思い通り」の中身ではないですか、と。<br />
物事を言葉によって抽出、すなわち抽象化して骨だけにしてしまっているから、原型がわかりにくいのです。<br />
一段階、抽象の梯子を降りて、肉がある状態でなければ物事の本来の姿は見えないのです。<br />
<br />
子供が親に謝るのは痛いからですか?<br />
子供は痛いことから逃れるために謝るのですか?<br />
良好な関係を築きたい、続けたいからではないのですか?<br />
加藤智大、君は相手と良好な関係を築こうと、続けようと痛い目に遭わせましたか?<br />
その相手はあなたと良好な関係を望んでいましたか?灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-80069159276328900982014-12-04T06:00:00.001+09:002020-05-20T17:03:40.544+09:00「図書館戦争」有川浩 (角川文庫)<img border="0" src="https://4.bp.blogspot.com/-DiiCdVVmh0U/VxcjQNfWR1I/AAAAAAAACDs/h6qF-HcTN5g7YuKAAKnvHc9QM7DctEhoACKgB/s320/51yFdbIj4qL._SL320_.jpg" /><br />
<br />
シリーズ物はあまり読みません。人気漫画の連載と同じでキリがないですから。しかもシリーズが終了する、其れすなわち人気薄のため、というケースが多いです。そうするとシリーズ全体では、尻すぼみな結末しか待っていない、ということが多々あるからです。<br />
<br />
そんな私が「図書館戦争」(シリーズ第一作)を読んで得た感想は、こういうのもいいな、面白いな、といったものでした。<br />
漫画は読んでも小説は読まないという人の中には、小説はまだ敷居の高い、お堅いジャンルのように感じる方がいるかもしれません。読み手が減れば、必然的に書き手は減ります。<br />
漫画は低俗なもの、と思っている狂育熱心な親御さんもいらっしゃると思います。ですけども、漫画が多くの人を楽しませているのも事実です。<br />
<br />
多くの漫画の読者の中には、自分も漫画を描いてみたい、こんな感じなら自分でも描けるんじゃないか、やれるんじゃないかと、ちょっとした遊び程度で漫画を描き始める人もいます。その中から優れた描き手が現れることで、漫画の人気はさらに高まりました。また人気と共に漫画の内容や質も、玉石が交じりつつも発展・向上してきたと思われます。参画人口の多さが、あるジャンルの文化の発展・向上に繋がると言えるのではないでしょうか。<br />
<br />
小説にしても同じで、読者が増えるなら、まずは読みやすく面白い、ただそれだけでいいのではないかと思います。読者の増加がそのまま優れた書き手の出現に繋がるとまでは言いませんけども、ある程度の裾野がなければ、次の担い手の育成すら困難です。<br />
以上のような理由も視野に入れて、「図書館戦争」は面白いと思えました。読者もこういう感じの話なら自分でも書けるかも、自分も書いてみたいという気になるのではないでしょうか。もちろん実際には難しいんでしょうけどもね。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898053" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51yFdbIj4qL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898053" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">図書館戦争 図書館戦争シリーズ (1) (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043898053" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
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内容としては恋愛ものの筋と、表現の自由・言論の自由を巡って図書館と政府が対立し、抗争するという二重の筋から構成されます。前者はお約束的なシンプルな話ですし、後者もさほど深刻な話にまでは掘り下げられていないので、ファンタジー要素のないライトノベルのような感じで読めるのではないかと思います。<br />
若干、私の苦手な体言止めが目に付きましたけども、それを差し引いても、小説に苦手意識を持ってる人にお勧めできる本ではないかと思います。灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-41622843235472513292014-11-28T06:00:00.001+09:002020-05-20T17:00:38.773+09:00「遺書 五人の若者が残した最期の言葉」verb (幻冬舎文庫)<img border="0" src="https://3.bp.blogspot.com/-YZfPavTct00/VxcjQFpd6NI/AAAAAAAACDs/FMOZN7-mKOw61Fw_OCfNvh4T2m55kRMLACKgB/s320/41sBVyCkQdL._SL320_.jpg" /><br />
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遺書を残して自殺した若者たちのドキュメントです。<br />
五人の若者を自殺に至らしめた内容の内訳を書いてみます。いじめを苦にして自殺をした者が三人、うつでの自殺が一人、疑われることの息苦しさと人を疑う罪悪感からの自殺が一人です。<br />
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まずこのドキュメントの狙いと、実際に書かれている内容が擦れ違っている点が気になりました。<br />
自殺を選ぶことで残された人たちがどんな思いをするか、そういう現実的な想像を掻き立てることで、自殺を考えている人を思い留まらせたいのか、それとも遺書という形で死んで訴える内容は素晴らしいと賛美しているのか、その辺りがややぼやけています。<br />
これは各話が別々の人に執筆されたためなのかもしれません。要は趣旨が今ひとつ統一されていないと感じました。<br />
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特に窃盗の疑いを掛けられる息苦しさと戦いつつ、いったい他の誰が犯人なのかと近しい人たちを疑うことに疲れて自殺を選んだ若者の話に至っては、自業自得の観さえあります。<br />
なのに、その彼が残した遺書によって、残された人々が前向きに生きていく姿が描かれていて、読者に自殺を推奨したいのかとさえ思えました。<br />
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過去、実際に窃盗を働いたことで、彼にはその前科がつきました。そうなれば、周囲から真っ先に疑われるのは世の常です。そのことを知らなくても、現実はそうなのです。そしてその事実を受け止めきれずに苦しむのは、本人の過去の浅はかさ由来のものです。<br />
また他の近しい人たちを疑うことに耐え兼ねて、といった部分は甚だ怪しいです。ですが、本人はすでに自殺を選んでしまったのだから、真実は闇の中ですけども。<br />
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あと、うつ病を発症して自殺を選んだという話も、いささか誰が悪いというものではありません。自分の理想の姿とかけ離れてしまっている現実の自分の姿を受け入れられずに死を選ぶ、とはまた贅沢なものです。<br />
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ここで長くなりますが「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一 講談社現代新書)から、以下を引用させて頂きます。<br />
<a href="https://books.note4mon.com/2015/07/sinichi-144.html" style="text-decoration: none;"><div class="link-box"><div class="img-box"><div style="background-image: url("https://2.bp.blogspot.com/-Q628L1flR9I/VxcjQCbxdTI/AAAAAAAACDc/90md0uscdjUQcvEzWlugMmSZ--_Z_fwWACKgB/w1200-h630-p-k-no-nu/51oeIDl3HxL._SL320_.jpg");"></div></div><div class="text-box"><p class="title">「生物と無生物のあいだ」福岡伸一 (講談社現代新書)</p><p class="description">主に小説のあらすじ紹介と読後感想を書いています。気になる本、読んでみたい本の下調べにどうぞ。</p></div></div></a>
<blockquote>
「科学者はその常として自分の思考に固執する。仮に自分の思いと異なるデータが得られた場合、まずは観測の方法が正しくなかったのだと考える。自分の思考が間違っているとは考えない。それ故、自分の思いと合致するデータを求めて観測または実験を繰り返す。<br />
しかし固執した思考はその常として幻想である。だから一向に合致するデータが得られることはない。科学者はその常としてますます固執する」<br />
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「仮説と実験データとの間に齟齬が生じた時、仮説は正しいのに実験が正しくないから思い通りのデータが出ないと考えるか、そもそも自分の仮説が正しくないから、それに沿ったデータが出ないと考えるかは、まさに研究者の膂力が問われる局面である。実験が上手くいかないという見かけ上の状況はいずれも同じだから。ここでも知的であることの最低条件は自己懐疑ができるかどうかということになる」</blockquote>
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ここで「科学者」を「若者」あるいは「人」、「データ」「実験データ」を「現実」、「思い」「思考」を「理想」、「実験」「観測」を「行動選択」、「仮説」を「人生観」と置き換えてみては、どうでしょうか。<br />
まったく違う趣旨の本からの引用ですけども、理想と現実の狭間で苦しむ人の原因が分かったような気がしてきます。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4344405420" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/41sBVyCkQdL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4344405420" rel="nofollow" target="_blank">遺書―5人の若者が残した最期の言葉 (幻冬舎文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4344405420" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
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いじめによる明確な、加害者と被害者という関係の中で自殺を選んだ三人に対しては、同情の念が起こります。<br />
ただ自殺するほどなのかと思うのは、私が大人になって多少苦痛に対しての抵抗力が身についたからなのでしょうか。<br />
とりあえず私の時は、いじめに遭いそうな局面で、咄嗟に教室の椅子をぶん投げて、机なんかを蹴り倒したら、後でみんな謝って来ましたけども。<br />
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そう考えると、人に何かを伝えるためには死ぬことではなくて、思っていることや自分の感情を、相手に思いっ切りぶつけることが必要なのかもしれません。<br />
時には多少荒っぽい伝え方をされないと、人は人の思っていること、感じていることに気付けないのかもしれません。<br />
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すなわち遺書では真意は伝わらないのではないか、と言いたいのです。<br />
どんなにいいことを書いたとしても、どんなに熱心に書いたとしても、本人がいなければ、常に生きて伝え続けていかなければ、その人の思うところは決して伝わらないと思うのです。灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-89898195644710856452014-11-24T06:00:00.002+09:002020-05-20T16:56:14.753+09:00「夜は短し歩けよ乙女」森見登美彦 (角川文庫)<img border="0" src="https://3.bp.blogspot.com/-dtvrJ_VfXvg/VxcjQN4q9qI/AAAAAAAACDo/904xzjC7TLEeEfOgcJcFHmjOMbv5ktX7gCKgB/s320/51IiVmDHuNL._SL320_.jpg" /><br />
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この本を読んで、私は大学時代に経験した、いろいろなことを思い出しました。何を隠そう、私には大学に通うために京都で一人暮らしを始め、後に十年を越えて彼の地に住み続けた経験があるのです。その上で、実によく京都の町とそこに生きる人々が描かれた作品だと思いました。<br />
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私が京都にいた時も李白のような人物がいて、当時の私は飲み比べでよく負かされておりました。古本市には出掛けたことはありません。ですが、そこで催される希少本を巡る熱い戦いの噂はかねがね耳にしていました。ですので、なるほど、このようにしてみんなは希少本を手に入れていたのかと、その実情を垣間見た思いです。<br />
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私の通った大学は京都大学ではありませんでしたが、やはり学園祭というものはどこも似たり寄ったりで同じようですね。こんな混沌とした学園祭は、現実的にありえないのではなかろうかと危惧したほどでしたので、少し安心しました。<br />
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主な登場人物たちも恐らくモデルがいるのではないでしょうか。その中には、もしかすると私もどこかで出会っている人もいるかもしれません。木屋町で飲んでいる時に、よくふわふわ浮き上がっている浴衣の人物を見掛けたような気がします。またお酒の勢いなのか酔った振りなのか、女性のおっぱいを揉みしだくような中年男性もしばしば見掛けました。<br />
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そうです。何を隠そう、京都にいた頃の私は、黒髪の乙女が大人の世界と憧れ、飛び込んだ夜の世界の住人だったのです。本当に毎夜、お酒の勢いを借りた百鬼夜行が繰り広げられたものです。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom: 0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float: left; margin: 0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043878028" rel="nofollow"><img alt="" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51pCh7DRrGL. _SL160_.jpg" style="border: none;" /></a></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><div class="krb-amzlt-name" style="line-height: 120%; margin-bottom: 10px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043878028" rel="nofollow" target="_blank">夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size: 80%; line-height: 120%; margin-top: 5px;">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" rel="nofollow" target="_blank" title="amazlet">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4043878028" rel="nofollow" target="_blank">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left;"></div></div>
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ただこの作品の嘘っぽいところを挙げるなら、それは黒髪の乙女の存在でしょうか。私はあんなに可愛らしい子に出会った覚えがありません。どれくらい酒を飲むのかと訊かれ、むんと胸を張って「そこにお酒のある限り」と答える場面の何と愛らしいことか。揉まれる程度の大きさはあるとはいえ、胸を張れるほどなのかどうか甚だ怪しいというのに、自信をもって胸を張るなんて、素晴らしいではありませんか。ビバ、おっぱい。<br />
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ですが、やはり京都で彼女のような女性にお会いした記憶はまったくありません。こんなにも可愛い女性なら、一度会えば忘れるはずがありません。ということは、黒髪の乙女は作者の想像上の女性なのでしょう。そこが堪らなく残念で仕方ありません。</div>灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com1tag:blogger.com,1999:blog-7492050761418014977.post-28622064731167680982014-11-15T09:23:00.001+09:002020-05-20T16:48:53.847+09:00「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎 (新潮文庫)<img border="0" src="https://2.bp.blogspot.com/-3whjwl4gOoU/VxcjQE6-LVI/AAAAAAAACDs/kvWB1oLfni8PU66SiWzX7pGSfX_J4zsngCKgB/s320/510sd7P8evL._SL320_.jpg" /><br />
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伊坂氏には、あまり短編・中編を書かない印象があります。<br />
そんな彼の、四編からなる中・短編集です。<br />
四編の内、一般的に面白いと評価されるとすれば、『フィッシュストーリー』と『ポテチ』の二編ではないかと思います。<br />
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伊坂ファンであれば、『オーデュボンの祈り』の登場人物・伊藤の「人間の悪い部分は動物と異なるところ全部だ」という台詞と、「私」と名乗る男の「意味を求めるのも人間だけかもしれない」という台詞が、対となって出てくる『動物園のエンジン』に、もしかすると何かしら感銘を受けるかもしれません。<br />
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また伊坂作品に度々登場する黒澤という男のファンであれば、『サクリファイス』で彼のクールさに惚れ直すかもしれません。<br />
ですが、飽くまで一般的に、誰が読んでも面白いと評価されるとすれば、やはり先に挙げた二編かと思います。<br />
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個人的には『フィッシュストーリー』よりも『ポテチ』の方が好みのお話です。<br />
内容的には、伊坂氏の『重力ピエロ』と被っているところがあります。またこういう感じか、とも思う一方、やっぱりいいなぁという読後感も得られました。<br />
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『ポテチ』には、クールな黒澤も登場します。<br />
ただし『サクリファイス』と違って、こちらでは話の脇をきっちり固めてくれる脇役をこなすに留まっています。<br />
主役は、お人好しの空き巣・今村とその不貞の彼女・大西です。<br />
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伊坂氏が、不貞の女性を主役の座に据えるのは珍しいです。<br />
個人的には嫌いなタイプです。<br />
最後まで彼女には感情移入できませんでした。<br />
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今村の方はと言うと、大西とは対照的です。<br />
人を食った語りの映える伊坂氏の文章と、今村のキャラが見事にマッチしています。<br />
今まで目立つことのなかった端役が、ここに来て大躍進です。<br />
どうして空き巣なんかすることになったんですかって、小一時間ほど問い詰めたいです。<br />
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私の感想では、話の内容がさっぱりわからないですと? わからないように書いているので、これでいいのです。<br />
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<div class="krb-amzlt-box" style="margin-bottom:0px;"><div class="krb-amzlt-image" style="float:left;margin:0px 12px 1px 0px;"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101250243" rel="nofollow"><img src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/510sd7P8evL. _SL160_.jpg" alt="" style="border: none;"></div><div class="krb-amzlt-info" style="line-height:120%; margin-bottom: 10px"><div class="krb-amzlt-name" style="margin-bottom:10px;line-height:120%"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101250243" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">フィッシュストーリー (新潮文庫)</a><div class="krb-amzlt-powered-date" style="font-size:80%;margin-top:5px;line-height:120%">posted with <a href="https://kaereba.com/wind/" title="amazlet" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">カエレバ</a></div></div><div class="krb-amzlt-detail"></div><div class="krb-amzlt-sub-info" style="float: left;"><div class="krb-amzlt-link" style="margin-top: 5px"><a href="//af.moshimo.com/af/c/click?a_id=525085&p_id=170&pc_id=185&pl_id=4062&url=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F4101250243" name="amazletlink" target="_blank" rel="nofollow" rel="nofollow">Amazon.co.jpで詳細を見る</a></div></div></div><div class="krb-amzlt-footer" style="clear: left"></div></div>
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伊坂氏の描く悪役には二通りあります。<br />
とても悪い悪人と、あまり悪くない悪人です。<br />
前者はまさに悪で、許しがたい感情に襲われます。<br />
後者は、悪人というよりもダークヒーローであったり、間抜けなダークヒーローだったりします。<br />
伊坂氏にはこれからも、いろんな悪人をたくさん書いてもらいたいものです。灰原士紋http://www.blogger.com/profile/08343293533352834822noreply@blogger.com0